この冬、祖母の肖像に取り組んだ画家がいる。諏訪敦(すわ・あつし)48歳。祖母は、彼が生まれる20年以上も前の終戦直後に、旧満州、現在の中国東北部で亡くなっていた。31歳の若さだった。そのことを知るきっかけとなったのは、17年前に亡くなった父が最期に残した手記だった。そこには、終戦の年、昭和20(1945)年の春に一家が満蒙開拓団として満州にわたり、3か月あまりでソ連軍の侵攻にあい、逃亡し、たどり着いたハルビンの難民収容所で飢餓と伝染病に苦しんだ惨状がつづられていた。その年の冬、諏訪の祖母と叔父は亡くなった。父の手記は無念と怒りをあらわにして終わっていた。 それまで諏訪にとって、満州のこともそこで亡くなった日本人のことも遠い存在だった。諏訪は画家として、父の無念や怒りを受け止め、「忘れられた人々」のことを絵にしなければと、戦後70年の昨年、動き出す。満...
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